クラシック音楽の「名曲」「名演」
音楽は元々演奏されているその瞬間だけの物です。本来は名曲も名演もその時と場を共有した人たちの記憶の中に残るだけの物でした。
西洋音楽は中世からルネサンス、バロックと長い年月をかけ五線譜よる記譜法を生み出しました。これがルネサンス時代に発明され急速に発展した印刷産業のもと、楽曲が楽譜と言う形で残されるようになりました。多くの人に愛された曲は時代を超えて演奏されるようになり「名曲」と呼ばれるようになりました。またそれらを作った作曲家の名前も語り継がれるようになったのです。
しかし楽譜は音楽を完全に再現する物ではありません。 同じ楽譜を使っても演奏者が変わると出てくる音、奏でられる音楽はかなり違った物になります。 だから伝説と言われるような名演奏家の「名演」は想像するしかないものなのです。
1877年、エジソンにより発明された蓄音機は、様々な改良の後円盤形のディスクとして20世紀の初頭には広く普及し始めます。さらに1920年代中頃に電気式吹き込みが実用化されると音質は飛躍的に向上し録音も楽になったため良質の音楽がどんどん録音されるようになりました。また1920年代にはラジオ放送も開始されます。
これらの技術革新により音楽はいつでもどんなところでも触れることのできる物に変わっていきました。
ある場所のその時にしか触れることのできなかった名演奏家の「名演」を遠く隔たった場所の大きくかけ離れた時間に味わうことが可能になったのです。
(もちろん音楽は実際の演奏会場で演奏されたその瞬間に聴く物が本物だ、と言う考え方もあります。それも確かな見識だとは思います。しかしそういう機会に恵まれない人も優れた音楽に触れることのできる録音、放送の功績もまた無視することはできない物でしょう。)
このサイトではそのようにして残されたクラシック音楽の「名曲」、「名演」の数々をご紹介していきたいと思います。